2019年02月17日

民法56 判例六法 丸暗記ドリル【メルマガ版】

★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

甲土地は、本来、亡Aの所有であり、現在は、Aの共同相続人であるBCが共有しているが、登記名義は、他人のD名義で為されている。この場合、Bは、Dに対して、単独で、D名義の登記の抹消を求めることができる。

10秒で考えよう。よーいドン!

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

★今日の解説★

正しい。
 不動産の共有権者の一人がその持分に基づき、当該不動産につき登記簿上所有名義者たるものに対してその登記の抹消を求めることは、妨害排除の請求に外ならずいわゆる保存行為に属するものというべく、従つて、共同相続人の一人が単独で本件不動産に対する所有権移転登記の全部の抹消を求めうる。(最判昭和31年5月10日)

posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 18:50| メルマガ掲載問題

2019年02月15日

民法55 判例六法 丸暗記ドリル【メルマガ版】



★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

Aは、自らが所有する二階建マンションについて、一階の一室を改造するために取りこわし、柱および基礎等を残すだけの工作物とした。その後、賃借人Bとの間で、この工作物をBの負担で改造する約束で、賃貸借契約を結び、Bが建物として完成させた。この場合、Bの工事により完成した建物部分については、Bが所有権を主張することができる。

10秒で考えよう。よーいドン!

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

★今日の解説★

間違い。
 所有権者が、二階建アパートの一室について、これを賃貸の目的で改造するために取りこわし、柱および基礎工事等を残すだけの工作物とした上で、右工作物を、賃借人の負担で改造する約束で賃貸し、賃借人において、約旨に従い、建物として完成させた場合には、賃借人の工事により附加された物の附合により、右建物は工作物所有者(賃貸人)の所有に帰したものと解すべきである。(最判昭和34年2月5日)

posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 19:14| メルマガ掲載問題

2019年02月14日

民法54 判例六法 丸暗記ドリル【メルマガ版】


★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

相隣する甲、乙土地を有しているA、Bが、その境界について争っているが、乙土地を有するBが甲土地と境界を接している部分についてすべて時効取得している場合は、A、Bは、境界確定の訴えの当事者適格を失う。

10秒で考えよう。よーいドン!

1秒

2秒

3秒

4秒

5秒

6秒

7秒

8秒

9秒

10秒

★今日の解説★

間違い。
 当事者適格を定めるに当たっては、何ぴとをしてその名において訴訟を追行させ、また何ぴとに対し本案の判決をすることが必要かつ有意義であるかの観点から決すべきであるから、相隣接する土地の各所有者が、境界を確定するについて最も密接な利害を有する者として、その当事者となる。
 したがって、境界確定の訴えにおいて、甲地のうち境界の全部に接続する部分を乙地の所有者が時効取得した場合においても、甲乙両地の各所有者は、境界に争いがある隣接土地の所有者同士という関係にあることに変わりはなく、境界確定の訴えの当事者適格を失わない。(最判平成7年3月7日)

posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 20:18| メルマガ掲載問題

民法8【司法試験、司法書士、行政書士試験受験生必見】わずか五分で! 判例六法を丸暗記した方法を公開!

民法8【司法試験、司法書士、行政書士試験受験生必見】わずか五分で! 判例六法を丸暗記した方法を公開!





民法の重要判例を択一式問題を解きながら覚えよう!

この動画に掲載している問題は、次の問題集から出題しています。
より詳細な解説を読みたい方は、参考にしてください。



楽天Kobo版 判例六法 完全制覇 一問一答式問題集 民法1 (全12巻)【電子書籍】[ 判例六法ラノベ化プロジェクト ]




判例六法 完全制覇 一問一答式問題集 民法1 (全12巻)【電子書籍】[ 判例六法ラノベ化プロジェクト ]


 判例六法 完全制覇 一問一答式問題集シリーズは、いわゆる判例六法に掲載されている判例について、短答式(択一式)問題を解きながら、覚えてしまおうというものです。

 司法試験、司法書士試験、行政書士試験、宅建士試験等の法律関係資格の合格を目指す方が、土台となる知識を身につけるのに最適な問題集となっています。


★民法 第1巻に掲載されている問題

民法第一条(基本原則)から第百一条(代理行為の瑕疵)まで。

この範囲の民法の条文と判例の知識を問う問題を中心に掲載しています。


※ちなみに他の巻は次のような構成になっています。

民法 第1巻 民法第一条(基本原則)から第百一条(代理行為の瑕疵)まで。
民法 第2巻 民法第百一条(代理行為の瑕疵)から第百五十一条(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)まで。
民法 第3巻 民法第百五十二条(承認による時効の更新)から第百七十七条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)まで。
民法 第4巻 第百七十七条(不動産に関する物権の変動の対抗要件)から第二百九十四条(共有の性質を有しない入会権)まで。
民法 第5巻 第二百九十四条(共有の性質を有しない入会権)から第四百二条(金銭債権)まで。 
民法 第6巻 第四百四条(法定利率)から第四百三十条(不可分債務)まで。
民法 第7巻 第四百三十二条(連帯債権者による履行の請求等)から第五百三条(債権者による債権証書の交付等)まで。
民法 第8巻 第五百四条(債権者による担保の喪失等)から第五百八十八条(準消費貸借)まで。
民法 第9巻 第五百八十九条(利息)から第七百五条(債務の不存在を知ってした弁済)まで。
民法 第10巻 第七百八条(不法原因給付)から第七百九条(不法行為による損害賠償)まで。
民法 第11巻 第七百十条(財産以外の損害の賠償)から第七百七十条(裁判上の離婚)まで。
民法 第12巻 第七百七十一条(協議上の離婚の規定の準用)から第千四十四条(代襲相続及び相続分の規定の準用)まで。

各巻とも、約150問を掲載しています。
全部で、約1800問。
これだけの問題を解けば、判例六法を制覇したことになります。


★判例六法に始まり、判例六法で終わる

 法律系資格試験の勉強は、判例六法に始まり、判例六法で終わる。と言えます。

 宅建士試験、行政書士試験、司法書士試験、司法試験用に様々なテキストや過去問が出ていますが、判例六法と照らし合わせると、すべて、判例六法に掲載されている事柄だということに気づくと思います。

 これらの資格試験に合格できるかどうかは、どれだけ、判例六法を理解し暗記したか。にかかっていると言っても過言ではありません。


★あの判例六法を読み込むのは無理。ならば……。

 とは言え、判例六法に掲載されている条文と判例を第一条から読んでいこうとしても、頭に入るものではないですし、眠くなってしまうのではないでしょうか。

 やはり、問題を解きながら、覚えるのが最も効率が良いのではないでしょうか。
 このシリーズは、いわゆる判例六法に掲載されている重要判例のほぼすべてを問題化したものです。
 このシリーズを一通り終えてしまえば、判例六法を完全に制覇したことになります。


★過去問は暗記するほどやった。後は模擬試験までやることがない……。

 そんな方にこそ、このシリーズがおすすめです。
 資格試験では過去問からの出題が多く、過去問だけで7割は取れますが、合格安全圏とはいいがたいものです。
 過去問だけでは、最新の判例に対応できないからです。

 このシリーズは、過去の判例ばかりではなく、最新の判例も取り入れていますから、過去問を解くだけでは足りない知識を補うのに役立ちます。


★債権法改正に対応済み

 債権法改正によって影響を受ける条文は、今後、数年間に行われる試験で、狙われる可能性が高いです。
 判例六法 完全制覇 一問一答式問題集シリーズは、債権法改正にも対応しています。
 現行法での解説と改正法での変更点を掲載していますので、現行法の受験生、改正をまたいで勉強する方にもご利用いただけます。


●著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

 判例六法ラノベ化プロジェクト
 小説を読む感覚で、隙間時間にすらすらと読めて、なおかつ、『ハイレベルな』教材を開発しようと集まったベテランの実務家(弁護士、司法書士、行政書士、宅建士等)と資格スクール講師の集団。日々、試行錯誤しながら、新しい教材を開発中!





posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 20:04| 毎日五分 判例六法丸暗記チャンネル

行政事件訴訟法 第三条 給水条例無効確認等請求事件

1 原審の適法に確定した事実関係等の概要は,次のとおりである。
(1) 被上告人らは,いずれも山梨県の旧高根町の住民基本台帳に記録されてい
なかった者であるが,同町の区域内に別荘を所有し,同町との間で給水契約を締結
していた。
(2) 旧高根町の住民及び同町の区域内に別荘を所有していた者は,従前,同町
や簡易水道組合等が経営する簡易水道から給水を受けていたが,同町は,昭和63
年に高根町清里の森簡易水道事業を除く水道事業を町営水道に統合した。同町は,
この統合に際し,高根町簡易水道事業給水条例(昭和63年高根町条例第8号。以
下「本件条例」という。)を制定した。本件条例制定当時の水道料金は,原判決別
紙料金表1のとおりであった。
同町は,平成5年7月1日,本件条例の一部を改正する条例(平成5年高根町条
例第11号)を施行し,高根町清里の森簡易水道事業を町営水道に統合し,同町の
簡易水道事業の給水区域を同町の区域全域とするとともに,水道料金を原判決別紙
料金表2のとおり改定した。
同町は,同6年4月1日,本件条例の一部を改正する条例(平成6年高根町条例
第4号)を施行し,水道料金を原判決別紙料金表3のとおり改定し,さらに,同1
0年4月1日,本件条例の一部を改正する条例(平成10年高根町条例第24号。
以下「本件改正条例」という。)を施行し,水道料金を原判決別紙料金表4(本件
改正条例による改正後の本件条例別表第1)のとおり改定した。本件改正条例によ
る水道料金の改定の結果,水道メーターの口径が13mmの場合を例にすると,同町
の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者(以下「別荘給水契約
者」という。)については1か月の基本料金(基本水量10m までの料金)が3 3
000円から5000円に増額されたのに対し,それ以外の給水契約者(臨時給水
に係る給水契約者を除く。以下「別荘以外の給水契約者」という。)については上
記の基本料金が1300円から1400円に増額されたにとどまるなど,別荘給水
契約者と別荘以外の給水契約者との間に基本料金の大きな格差を生じた。
(3) 旧高根町は,給水契約者から水道料金等を徴収し,これを簡易水道事業の
費用に充てていたが,支出額が収入額を上回っていたため,その補てんのため毎年
1億数千万円を一般会計から繰り入れてきた。平成10年度においては,本件改正
条例による水道料金の改定の結果,収入は年間で約4659万円増加したものの,
なお一般会計から約9454万円を繰り入れ,同年度末における一般会計からの繰
入れの累計額は13億円余りとなった。
(4) 旧高根町の簡易水道事業においては,平成8年度を例にすると,別荘給水
契約者は給水契約者全体のうち約30.4%(1324件)を占めていたが,別荘
給水契約者の水道使用は夏季等の一時期に集中し,その年間水道使用量は同町の簡
易水道事業における総水道使用量の約4.7%を占めるにすぎなかった。また,同
年度において,水道料金を年間50万円以上支払っている大口需用者は29件あ
り,その年間水道使用量は同町の簡易水道事業における総水道使用量の約20.3
%を占めていた。
(5) 平成10年4月から同12年12月までの被上告人らの旧高根町に対する
水道料金の支払状況は,原判決別紙水道料金支払状況表記載のとおりである。
(6) 旧高根町は,平成11年7月,未払水道料金がある者に対し給水停止を執
行する旨の文書を送付した。
(7) 平成16年11月1日,旧高根町を含む7町村が合併して新たな市として
上告人が設置され,上告人が旧高根町の権利義務を承継した。
2 本件は,被上告人らが,本件改正条例による改正後の本件条例別表第1(以
下「本件別表」という。)は別荘給水契約者を不当に差別するものであると主張し
て,行政事件訴訟法3条4項の無効等確認の訴えとして本件別表が無効であること
の確認を求めるとともに,別荘給水契約者に係る本件別表所定の基本料金と本件改
正条例による改定前の基本料金との差額分に関し,未払水道料金の債務不存在確認
と支払済みの水道料金相当額の不当利得返還又は不法行為による損害賠償を求め,
さらに,被上告人らのうち未払水道料金がある者に対する簡易水道の給水停止の禁
止等を求めた事案である。
第2 上告代理人の上告受理申立て理由第3について
1 原審は,要旨次のとおり説示し,本件別表の無効確認を求める被上告人らの
訴えは適法なものであると判断した。
地方公共団体の水道事業においては,水道需用者は,供給規程を定める条例の施
行によってその後にされる個別的行政処分を経ることなく,その条例の内容に従っ
た給水契約上の義務を課されることになるから,供給規程に係る条例の制定行為
は,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる。そして,水道需用者は,供給規程の
うち水道料金の算定基準を定め,又は変更した部分が憲法その他の法令に抵触する
として争う場合には,抜本的な紛争解決のために,当該供給規程に係る条例の規定
が無効であることの確認を求めて行政事件訴訟法3条4項の無効等確認の訴えを提
起することができる。
2 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次
のとおりである。
本件別表の無効確認を求める被上告人らの訴えは,本件改正条例の制定行為が抗
告訴訟の対象となる行政処分に当たることを前提に,行政事件訴訟法3条4項の無
効等確認の訴えとして,本件改正条例により定められた本件別表が無効であること
の確認を求めるものである。しかしながら,抗告訴訟の対象となる行政処分とは,
行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為をいうものである。本件改正条例
は,旧高根町が営む簡易水道事業の水道料金を一般的に改定するものであって,そ
もそも限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく,本件改正条例の制
定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできな
いから,本件改正条例の制定行為は,抗告訴訟の対象となる行政処分には当たらな
いというべきである。
以上と異なる原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反が
ある。論旨は理由がある。なお,被上告人らは,当審において,本件別表の無効確
認を求める被上告人らの訴えは抗告訴訟として不適法であるとしても行政事件訴訟
法4条の当事者訴訟として適法である旨新たに主張しているが,抗告訴訟としての
無効確認の訴えと当事者訴訟としての無効確認の訴えは別個の訴えであるところ,
被上告人らは,抗告訴訟として本件別表の無効確認を求める訴えを提起していたも
のであり,当事者訴訟としてこれを提起していたものではないから,被上告人らの
主張はその前提を欠くものであって失当である。
第3 上告代理人の上告理由及び上告受理申立て理由第4ないし第7,第9について
1 普通地方公共団体が経営する簡易水道事業の施設は地方自治法244条1項
所定の公の施設に該当するところ,同条3項は,普通地方公共団体は住民が公の施
設を利用することについて不当な差別的取扱いをしてはならない旨規定している。
ところで,普通地方公共団体が設置する公の施設を利用する者の中には,当該普通
地方公共団体の住民ではないが,その区域内に事務所,事業所,家屋敷,寮等を有
し,その普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる
地位にある者が存在することは当然に想定されるところである。そして,同項が憲
法14条1項が保障する法の下の平等の原則を公の施設の利用関係につき具体的に
規定したものであることを考えれば,上記のような住民に準ずる地位にある者によ
る公の施設の利用関係に地方自治法244条3項の規律が及ばないと解するのは相
当でなく,これらの者が公の施設を利用することについて,当該公の施設の性質や
これらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由な
く差別的取扱いをすることは,同項に違反するものというべきである。
2 別荘給水契約者は,旧高根町の区域内に生活の本拠を有しないという点では
同町の住民とは異なるが,同町の区域内に別荘を有し別荘を使用する間は同町の住
民と異ならない生活をするものであることなどからすれば,同町の住民に準ずる地
位にある者ということができるから,本件改正条例による別荘給水契約者の基本料
金の改定が地方自治法244条3項にいう不当な差別的取扱いに当たるかどうかに
ついて,以下検討する。
上告人の主張によれば,旧高根町は,本件改正条例による水道料金の改定におい
て,別荘以外の給水契約者(これにはホテル等の大規模施設に係る給水契約者も含
まれる。)の1件当たりの年間水道料金の平均額と別荘給水契約者の1件当たりの
年間水道料金の負担額がほぼ同一水準になるようにするとの考え方に立った上,別
荘給水契約者においてはおおむねその水道料金が基本料金の範囲内に収まっている
ため基本料金の額により負担額の調整をすることとし,本件別表のとおり別荘給水
契約者の基本料金を定めたというのである。
一般的に,水道事業においては,様々な要因により水道使用量が変動し得る中で
最大使用量に耐え得る水源と施設を確保する必要があるのであるから,夏季等の一
時期に水道使用が集中する別荘給水契約者に対し年間を通じて平均して相応な水道
料金を負担させるために,別荘給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基
本料金よりも高額に設定すること自体は,水道事業者の裁量として許されないもの
ではない。しかしながら,前記事実関係等によれば,旧高根町の簡易水道事業にお
いては,平成8年度において,水道料金を年間50万円以上支払っている大口需用
者が29件あり(記録によれば,これらの大口需用者はいずれも別荘以外の給水契
約者であることがうかがわれる。),その年間水道使用量は同町の簡易水道事業に
おける総水道使用量の約20.3%に当たり,一方,別荘給水契約者の件数は13
24件であり,その年間水道使用量は同町の簡易水道事業における総水道使用量の
約4.7%を占めるにすぎないというのである。このように給水契約者の水道使用
量に大きな格差があるにもかかわらず,上告人の主張によれば,本件改正条例によ
る水道料金の改定においては,ホテル等の大規模施設に係る給水契約者を含む別荘
以外の給水契約者の1件当たりの年間水道料金の平均額と別荘給水契約者の1件当
たりの年間水道料金の負担額がほぼ同一水準になるようにするとの考え方に基づい
て別荘給水契約者の基本料金が定められたというのである。公営企業として営まれ
る水道事業において水道使用の対価である水道料金は原則として当該給水に要する
個別原価に基づいて設定されるべきものであり,このような原則に照らせば,上告
人の主張に係る本件改正条例における水道料金の設定方法は,本件別表における別
荘給水契約者と別荘以外の給水契約者との間の基本料金の大きな格差を正当化する
に足りる合理性を有するものではない。また,同町において簡易水道事業のため一
般会計から毎年多額の繰入れをしていたことなど論旨が指摘する諸事情は,上記の
基本料金の大きな格差を正当化するに足りるものではない。
そうすると,本件改正条例による別荘給水契約者の基本料金の改定は,地方自治
法244条3項にいう不当な差別的取扱いに当たるというほかはない。
3 以上によれば,本件改正条例のうち別荘給水契約者の基本料金を改定した部
分は,地方自治法244条3項に違反するものとして無効というべきである。そう
すると,憲法14条1項違反等の点について判断するまでもなく,被上告人らは別
荘給水契約者に係る本件別表所定の基本料金と本件改正条例による改定前の基本料
金との差額分について支払義務を負うものではないから,同差額分に関する未払水
道料金の債務不存在確認及び支払済みの水道料金相当額の不当利得返還並びに被上
告人らのうち未払水道料金がある者に対する簡易水道の給水停止の禁止を求める被
上告人らの請求を認容した原審の判断は,結論において是認することができる。論
旨は採用することができない。
第4 結論
以上説示したところによれば,原判決のうち本件別表の無効確認請求に関する部
分は破棄を免れず,上記請求に係る被上告人らの訴えを却下すべきであり,上告人
のその余の上告は棄却すべきである。

(最判平成18年7月14日 民集 第60巻6号2369頁)


概略

 1 普通地方公共団体が営む水道事業に係る条例所定の水道料金を改定する条例の制定行為は,同条例が上記水道料金を一般的に改定するものであって,限られた特定の者に対してのみ適用されるものではなく,同条例の制定行為をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視することはできないという事情の下では,抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらない。
2 普通地方公共団体の住民ではないが,その区域内に事務所,事業所,家屋敷等を有し,当該普通地方公共団体に対し地方税を納付する義務を負う者など住民に準ずる地位にある者による公の施設の利用について,当該公の施設の性質やこれらの者と当該普通地方公共団体との結び付きの程度等に照らし合理的な理由なく差別的取扱いをすることは,地方自治法244条3項に違反する。
3 普通地方公共団体が営む水道事業の水道料金を定めた条例の改正により,当該普通地方公共団体の住民基本台帳に記録されていない別荘に係る給水契約者の基本料金を別荘以外の給水契約者の基本料金の3.57倍を超える金額とすることなどを内容とする水道料金の増額改定が行われた場合において,上記の別荘に係る給水契約者の基本料金が,当該給水に要する個別原価に基づいて定められたものではなく,給水契約者の水道使用量に大きな格差があるにもかかわらず,別荘以外の給水契約者(ホテル等の大規模施設に係る給水契約者を含む。)の1件当たりの年間水道料金の平均額と別荘に係る給水契約者の1件当たりの年間水道料金の負担額がほぼ同一水準になるようにするとの考え方に基づいて定められたものであることなど判示の事情の下では,上記の水道料金の改定をした条例のうち別荘に係る給水契約者の基本料金を改定した部分は,地方自治法244条3項に違反するものとして無効である。
(2につき補足意見がある。)




※参考条文

行政事件訴訟法
(抗告訴訟)
第三条 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。
2 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
3 この法律において「裁決の取消しの訴え」とは、審査請求その他の不服申立て(以下単に「審査請求」という。)に対する行政庁の裁決、決定その他の行為(以下単に「裁決」という。)の取消しを求める訴訟をいう。
4 この法律において「無効等確認の訴え」とは、処分若しくは裁決の存否又はその効力の有無の確認を求める訴訟をいう。
5 この法律において「不作為の違法確認の訴え」とは、行政庁が法令に基づく申請に対し、相当の期間内に何らかの処分又は裁決をすべきであるにかかわらず、これをしないことについての違法の確認を求める訴訟をいう。
6 この法律において「義務付けの訴え」とは、次に掲げる場合において、行政庁がその処分又は裁決をすべき旨を命ずることを求める訴訟をいう。
一 行政庁が一定の処分をすべきであるにかかわらずこれがされないとき(次号に掲げる場合を除く。)。
二 行政庁に対し一定の処分又は裁決を求める旨の法令に基づく申請又は審査請求がされた場合において、当該行政庁がその処分又は裁決をすべきであるにかかわらずこれがされないとき。
7 この法律において「差止めの訴え」とは、行政庁が一定の処分又は裁決をすべきでないにかかわらずこれがされようとしている場合において、行政庁がその処分又は裁決をしてはならない旨を命ずることを求める訴訟をいう。

地方自治法
(公の施設)
第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 08:15| 判例原文集 行政法