2019年04月11日

民法90 判例六法 丸暗記ドリル【メルマガ版】 #司法試験 #司法書士試験 #行政書士試験


★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

売主Aと買主Bの間で、中古車甲の売買契約が締結され、代金の支払いも終えているが、引渡し予定日になっても、Bが甲を引き取りに来なかったため、Aが店舗で保管している。この場合、AはBに対して、受領遅滞を理由として契約を解除することができる。


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★今日の解説★

間違い。
 債務者が債権者の受領遅滞を理由として契約を解除することは、特段の事由のないかぎり、許されない。(最判昭和40年12月3日)

 その理由は次のとおり。
 債務者の債務不履行と債権者の受領遅滞とは、その性質が異なるのであるから、一般に後者に前者と全く同一の効果を認めることは民法の予想していないところというべきである。
 民法四一四条・四一五条・五四一条等は、いずれも債務者の債務不履行のみを想定した規定であること明文上明らかであり、受領遅滞に対し債務者のとりうる措置としては、供託・自動売却等の規定を設けているのである。

※参考条文

【改正法】
(受領遅滞)
第四百十三条 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができない場合において、その債務の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、履行の提供をした時からその引渡しをするまで、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、その物を保存すれば足りる。

2 債権者が債務の履行を受けることを拒み、又は受けることができないことによって、その履行の費用が増加したときは、その増加額は、債権者の負担とする。





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条文と判例の知識の量によって行政書士、司法書士試験の合否が左右されると言っても過言ではありません。
とは言え、判例六法等で、民法の第一条から読み込んでいくのは、きついものがあります。
このテキストは、会話文形式で、民法の第一条から第千四十四条まで学ぶことができます。条文を一通り読むと同時に、重要な判例知識を学ぶことができます。




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posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 20:17| オリジナル問題

2019年04月10日

民法89 判例六法 丸暗記ドリル【メルマガ版】 #司法試験 #司法書士試験 #行政書士試験


★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

安全保証義務違反を理由に、使用者が被用者から債務不履行に基づく損害賠償請求を受けた場合は、その債務は、事故発生時から履行遅滞に陥っていると言える。


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★今日の解説★

間違い。
 安全保証義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償債務は、期限の定めのない債務であり、債権者から履行の請求を受けた時に履行遅滞となる。(最判昭和55年12月18日)





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posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 20:26| オリジナル問題

行政事件訴訟法第九条 新潟─小松─ソウル間の定期航空運送事業免許処分取消請求事件

 上告人の上告理由について
 取消訴訟の原告適格について規定する行政事件訴訟法九条にいう当該処分の取消
しを求めるにつき「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利若
しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者を
いうのであるが、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益をもつ
ぱら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的
利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、かかる
利益も右にいう法律上保護された利益に当たり、当該処分によりこれを侵害され又
は必然的に侵害されるおそれのある者は、当該処分の取消訴訟における原告適格を
有するということができる(最高裁昭和四九年(行ツ)第九九号同五三年三月一四
日第三小法廷判決・民集三二巻二号二一一頁、最高裁昭和五二年(行ツ)第五六号
同五七年九月九日第一小法廷判決・民集三六巻九号一六七九頁参照)。そして、当
該行政法規が、不特定多数者の具体的利益をそれが帰属する個々人の個別的利益と
しても保護すべきものとする趣旨を含むか否かは、当該行政法規及びそれと目的を
共通する関連法規の関係規定によつて形成される法体系の中において、当該処分の
根拠規定が、当該処分を通して右のような個々人の個別的利益をも保護すべきもの
として位置付けられているとみることができるかどうかによつて決すべきである。
 右のような見地に立つて、以下、航空法(以下「法」という。)一〇〇条、一〇
一条に基づく定期航空運送事業免許につき、飛行場周辺に居住する者が、当該免許
に係る路線を航行する航空機の騒音により障害を受けることを理由として、その取
消しを訴求する原告適格を有するか否かを検討する。
 法は、国際民間航空条約の規定並びに同条約の附属書として採択された標準、方
式及び手続に準拠しているものであるが、航空機の航行に起因する障害の防止を図
ることをその直接の目的の一つとしている(法一条)。この目的は、右条約の第一
六附属書として採択された航空機騒音に対する標準及び勧告方式に準拠して、法の
一部改正(昭和五〇年法律第五八号)により、航空機騒音の排出規制の観点から航
空機の型式等に応じて定められた騒音の基準に適合した航空機につき運輸大臣がそ
の証明を行う騒音基準適合証明制度に関する法二〇条以下の規定が新設された際に、
新たに追加されたものであるから、右にいう航空機の航行に起因する障害に航空機
の騒音による障害が含まれることは明らかである。
 ところで、定期航空運送事業を経営しようとする者が運輸大臣の免許を受けると
きに、免許基準の一つである、事業計画が経営上及び航空保安上適切なものである
ことについて審査を受けなければならないのであるが(法一〇〇条一項、二項、一
〇一条一項三号)、事業計画には、当該路線の起点、寄航地及び終点並びに当該路
線の使用飛行場、使用航空機の型式、運航回数及び発着日時ほかの事項を定めるべ
きものとされている(法一〇〇条二項、航空法施行規則二一〇条一項八号、二項六
号)。そして、右免許を受けた定期航空運送事業者は、免許に係る事業計画に従つ
て業務を行うべき義務を負い(法一〇八条)、また、事業計画を変更しようとする
ときは、運輸大臣の認可を要するのである(法一〇九条)。このように、事業計画
は、定期航空運送事業者が業務を行ううえで準拠すべき基本的規準であるから、申
請に係る事業計画についての審査は、その内容が法一条に定める目的に沿うかどう
かという観点から行われるべきことは当然である。
 更に、運輸大臣は、定期航空運送事業について公共の福祉を阻害している事実が
あると認めるときは、事業改善命令の一つとして、事業計画の変更を命ずることが
できるのであるが(法一一二条)、右にいう公共の福祉を阻害している事実に、飛
行場周辺に居住する者に与える航空機騒音障害が一つの要素として含まれることは、
航空機の航行に起因する障害の防止を図るという、前述した法一条に定める目的に
照らし明らかである。また、航空運送事業の免許権限を有する運輸大臣は、他方に
おいて、公共用飛行場の周辺における航空機の騒音による障害の防止等を目的とす
る公共用飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止等に関する法律三条に基
づき、公共用飛行場周辺における航空機の騒音による障害の防止・軽減のために必
要があるときは、航空機の航行方法の指定をする権限を有しているのであるが、同
一の行政機関である運輸大臣が行う定期航空運送事業免許の審査は、関連法規であ
る同法の航空機の騒音による障害の防止の趣旨をも踏まえて行われることが求めら
れるといわなければならない。
 以上のような航空機騒音障害の防止の観点からの定期航空運送事業に対する規制
に関する法体系をみると、法は、前記の目的を達成する一つの方法として、あらか
じめ定期航空運送事業免許の審査の段階において、当該路線の使用飛行場、使用航
空機の型式、運航回数及び発着日時など申請に係る事業計画の内容が、航空機の騒
音による障害の防止の観点からも適切なものであるか否かを審査すべきものとして
いるといわなければならない。換言すれば、申請に係る事業計画が法一〇一条一項
三号にいう「経営上及び航空保安上適切なもの」であるかどうかは、当該事業計画
による使用飛行場周辺における当該事業計画に基づく航空機の航行による騒音障害
の有無及び程度を考慮に入れたうえで判断されるべきものである。したがつて、申
請に係る事業計画に従つて航空機が航行すれば、当該路線の航空機の航行自体によ
り、あるいは従前から当該飛行場を使用している航空機の航行とあいまつて、使用
飛行場の周辺に居住する者に騒音障害をもたらすことになるにもかかわらず、当該
事業計画が適切なものであるとして定期航空運送事業免許が付与されたときに、そ
の騒音障害の程度及び障害を受ける住民の範囲など騒音障害の影響と、当該路線の
社会的効用、飛行場使用の回数又は時間帯の変更の余地、騒音防止に関する技術水
準、騒音障害に対する行政上の防止・軽減、補償等の措置等との比鮫衡量において
妥当を欠き、そのため免許権者に委ねられた裁量の逸脱があると判断される場合が
ありうるのであつて、そのような場合には、当該免許は、申請が法一〇一条一項三
号の免許基準に適合しないのに付与されたものとして、違法となるといわなければ
ならない。
 そして、航空機の騒音による障害の被害者は、飛行場周辺の一定の地域的範囲の
住民に限定され、その障害の程度は居住地域が離着陸経路に接近するにつれて増大
するものであり、他面、飛行場に航空機が発着する場合に常にある程度の騒音が伴
うことはやむをえないところであり、また、航空交通による利便が政治、経済、文
化等の面において今日の社会に多大の効用をもたらしていることにかんがみれば、
飛行場周辺に居住する者は、ある程度の航空機騒音については、不可避のものとし
てこれを甘受すべきであるといわざるをえず、その騒音による障害が著しい程度に
至つたときに初めて、その防止・軽減を求めるための法的手段に訴えることを許容
しうるような利益侵害が生じたものとせざるをえないのである。このような航空機
の騒音による障害の性質等を踏まえて、前述した航空機騒音障害の防止の観点から
の定期航空運送事業に対する規制に関する法体系をみると、法が、定期航空運送事
業免許の審査において、航空機の騒音による障害の防止の観点から、申請に係る事
業計画が法一〇一条一項三号にいう「経営上及び航空保安上適切なもの」であるか
どうかを、当該事業計画による使用飛行場周辺における当該事業計画に基づく航空
機の航行による騒音障害の有無及び程度を考慮に入れたうえで判断すべきものとし
ているのは、単に飛行場周辺の環境上の利益を一般的公益として保護しようとする
にとどまらず、飛行場周辺に居住する者が航空機の騒音によつて著しい障害を受け
ないという利益をこれら個々人の個別的利益としても保護すべきとする趣旨を含む
ものと解することができるのである。したがつて、新たに付与された定期航空運送
事業免許に係る路線の使用飛行場の周辺に居住していて、当該免許に係る事業が行
われる結果、当該飛行場を使用する各種航空機の騒音の程度、当該飛行場の一日の
離着陸回数、離着陸の時間帯等からして、当該免許に係る路線を航行する航空機の
騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる者は、当該免許の取消しを
求めるにつき法律上の利益を有する者として、その取消訴訟における原告適格を有
すると解するのが相当である。
 してみると、本件各免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて上告人が受
けることとなる障害の有無及び程度について何ら問うことなく、上告人は本件各免
許の取消しを訴求する原告適格を有しないとして本件訴えを却下した第一審判決及
びこれを支持した原判決は、いずれも法令の解釈適用を誤つたものといわざるをえ
ない。
 しかしながら、本件記録によれば、上告人が本件各免許の違法事由として具体的
に主張するところは、要するに、(1) 被上告人が告示された供用開始期日の前か
ら本件空港の変更後の着陸帯乙及び滑走路乙を供用したのは違法であり、このよう
な状態において付与された本件各免許は法一〇一条一項三号の免許基準に適合しな
い、(2) 本件空港の着陸帯甲及び乙は非計器用であるのに、被上告人はこれを違
法に計器用に供用しており、このような状態において付与された本件各免許は右免
許基準に適合しない、(3) 日本航空株式会社に対する本件免許は、当該路線の利
用客の大部分が遊興目的の韓国ツアーの団体客である点において、同条同項一号の
免許基準に適合せず、また、当該路線については、日韓航空協定に基づく相互乗入
れが原則であることにより輸送力が著しく供給過剰となるので、同項二号の免許基
準に適合しない、というものであるから、上告人の右違法事由の主張がいずれも自
己の法律上の利益に関係のない違法をいうものであることは明らかである。そうす
ると、本件請求は、上告人が本件各免許の取消しを訴求する原告適格を有するとし
ても、行政事件訴訟法一〇条一項によりその主張自体失当として棄却を免れないこ
とになるが、その結論は原判決より上告人に不利益となり、民訴法三九六条、三八
五条により原判決を上告人に不利益に変更することは許されないので、当裁判所は
原判決の結論を維持して上告を棄却するにとどめるほかなく、結局、原判決の前示
の違法は、その結論に影響を及ぼさないこととなる。また、所論違憲の主張は、実
質において法令違背を主張するものにすぎない。それゆえ、論旨は、採用すること
ができない。


(最判平成元年2月17日 民集 第43巻2号56頁)

概略

 定期航空運送事業免許に係る路線を航行する航空機の騒音によつて社会通念上著しい障害を受けることとなる飛行場周辺住民は、当該免許の取消しを訴求する原告適格を有する。



関連条文

行政事件訴訟法
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 08:49| 判例原文集 行政法

2019年04月09日

民法88 判例六法 丸暗記ドリル【メルマガ版】 #司法試験 #司法書士試験 #行政書士試験


★今日の問題★
次の記述の正誤を答えよ。

金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。


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★今日の解説★

 正しい。
 第四百十九条1項のとおり。

【改正法】
(金銭債務の特則)
第四百十九条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。

3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。






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posted by 判例ラノベ化プロジェクト at 21:04| オリジナル問題

行政事件訴訟法 第九条 森林法二七条一項にいう「直接の利害関係を有する者」と保安林指定解除処分取消訴訟の原告適格


 上告人らが上告理由第二部第一点ないし第四点(第一部中これに関連する部分を
含む。)において主張するところは、要するに、本件保安林指定解除処分取消訴訟
における本案前の問題としての上告人らの原告適格及び訴えの利益の有無に関して
原審が示した認定判断には法令の解釈適用の誤りや理由齟齬、事実誤認、審理不尽、
理由不備の違法があるというにあるが、上告人らの主張と原審の認定判断の間には
原告適格ないし訴えの利益についての基本的な見解の相違が存在し、それが上告理
由の各論点の底流をなしていると考えられるので、以下においては、右の基本的問
題との関連において各上告理由を本件における原告適格、訴えの利益の消滅、いわ
ゆる跡地利用と原告適格ないし訴えの利益との関係の各項目に区分し、そのそれぞ
れにつき順を追つて当裁判所の見解と判断を示すこととする。
 一 原告適格について(上告理由第二部第一点関係)
 森林法(以下「法」という。)上、農林水産大臣は、水源のかん養その他法二五
条一項各号に掲げられている目的を達成するため必要があるときは、森林を保安林
として指定することができるとされており、いつたん保安林の指定があると、当該
森林における立木竹の伐採、立木の損傷、家畜の放牧、下草・落葉・落枝の採取又
は土石・樹根の採掘、開懇その他の土地の形質を変更する行為が原則として禁止さ
れ、当該森林の所有者等が立木の伐採跡地につき植栽義務を負うなど、種々の制限
が課せられるほか(法三四条、三四条の二)、違反者に対しては、都道府県知事の
監督処分が規定されており(法三八条)、また、罰則による制裁も設けられている
(法二〇六条三号ないし五号、二〇九条等)。このように、保安林指定処分は、森
林所有者等その直接の名宛人に対しては、私権の制限を伴う不利益処分の性格を有
するものであるが、他方、右処分によつて達成しようとする目的として法二五条一
項各号が掲げるところを通覧すると、それらはおおむね、当該森林の存続によつて
周辺住民その他の不特定多数者が受ける生活上の利益とみられるものであつて、法
は、これらの利益を自然災害の防止、環境の保全、風致の保存などの一般的公益と
してとらえ、かかる公益の保護、増進を目的として保安林指定という私権制限処分
を定めたものと考えられるのである。
 ところで、一般に法律が対立する利益の調整として一方の利益のために他方の利
益に制約を課する場合において、それが個々の利益主体間の利害の調整を図るとい
うよりもむしろ、一方の利益が現在及び将来における不特定多数者の顕在的又は潜
在的な利益の全体を包含するものであることに鑑み、これを個別的利益を超えた抽
象的・一般的な公益としてとらえ、かかる公益保護の見地からこれと対立する他方
の利益に制限を課したものとみられるときには、通常、当該公益に包含される不特
定多数者の個々人に帰属する具体的利益は、直接的には右法律の保護する個別的利
益としての地位を有せず、いわば右の一般的公益の保護を通じて附随的、反射的に
保護される利益たる地位を有するにすぎないとされているものと解されるから、そ
うである限りは、かかる公益保護のための私権制限に関する措置についての行政庁
の処分が法律の規定に違反し、法の保護する公益を違法に侵害するものであつても、
そこに包含される不特定多数者の個別的利益の侵害は単なる法の反射的利益の侵害
にとどまり、かかる侵害を受けたにすぎない者は、右処分の取消しを求めるについ
て行政事件訴訟法九条に定める法律上の利益を有する者には該当しないものと解す
べきである。しかしながら、他方、法律が、これらの利益を専ら右のような一般的
公益の中に吸収解消せしめるにとどめず、これと並んで、それらの利益の全部又は
一部につきそれが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとす
ることももとより可能であつて、特定の法律の規定がこのような趣旨を含むものと
解されるときは、右法律の規定に違反してされた行政庁の処分に対し、これらの利
益を害されたとする個々人においてその処分の取消しを訴求する原告適格を有する
ものと解することに、なんら妨げはないというべきである。
 これを前記森林法所定の保安林指定処分についてみるのに、右処分が一般的公益
の保護を目的とする処分とみられることは前記のとおりであるが、法は他方におい
て、利害関係を有する地方公共団体の長のほかに、保安林の指定に「直接の利害関
係を有する者」において、森林を保安林として指定すべき旨を農林水産大臣に申請
することができるものとし(法二七条一項)、また、農林水産大臣が保安林の指定
を解除しようとする場合に、右の「直接の利害関係を有する者」がこれに異議があ
るときは、意見書を提出し、公開の聴聞手続に参加することができるものとしてお
り(法二九条、三〇条、三二条)、これらの規定と、旧森林法(明治四〇年法律第
四三号)二四条においては「直接利害ノ関係ヲ有スル者」に対して保安林の指定及
び解除の処分に対する訴願及び行政訴訟の提起が認められていた沿革とをあわせ考
えると、法は、森林の存続によつて不特定多数者の受ける生活利益のうち一定範囲
のものを公益と並んで保護すべき個人の個別的利益としてとらえ、かかる利益の帰
属者に対し保安林の指定につき「直接の利害関係を有する者」としてその利益主張
をすることができる地位を法律上付与しているものと解するのが相当である。そう
すると、かかる「直接の利害関係を有する者」は、保安林の指定が違法に解除され、
それによつて自己の利益を害された場合には、右解除処分に対する取消しの訴えを
提起する原告適格を有する者ということができるけれども、その反面、それ以外の
者は、たといこれによつてなんらかの事実上の利益を害されることがあつても、右
のような取消訴訟の原告適格を有するものとすることはできないというべきである。

 そこで進んで法二七条一項にいう「直接の利害関係を有する者」の意義ないし範
囲について考えるのに、法二五条一項各号に掲げる目的に含まれる不特定多数者の
生活利益は極めて多種多様であるから、結局、そのそれぞれの生活利益の具体的内
容と性質、その重要性、森林の存続との具体的な関連の内容及び程度等に照らし、
「直接の利害関係を有する者」として前記のような法的地位を付与するのが相当で
あるかどうかによつて、これを決するほかはないと考えられる。原審は、特定の保
安林の指定に際して、具体的な地形、地質、気象条件、受益主体との関連等から、
処分に伴う直接的影響が及ぶものとして配慮されたものと認めうる個々人の生活利
益をもつて、当該処分による個別的・具体的な法的利益と認めるべきものとし、本
件保安林は、a町一円の農業用水確保目的を動機として、水源かん養保安林として
指定されたものであり、その指定に当たつては、右農業用水の確保のほか、洪水予
防、飲料水の確保という効果も配慮され、右処分によるその実現が期待されていた
ものと認め、これらの利益を右の個別的・具体的な法的利益とし、進んで右の見地
から、本件保安林の有する理水機能が直接重要に作用する一定範囲の地域、すなわ
ち保安林の伐採による理水機能の低下により洪水緩和、渇水予防の点において直接
に影響を被る一定範囲の地域に居住する住民についてのみ原告適格を認めるべきも
のとしているのであるが、原審の右見解は、おおむね前記「直接の利害関係を有す
る者」に相当するものを限定指示しているものということができるのであつて、そ
の限りにおいて原審の右見解は、結論において正当というべきである。ところで、
原審の認定によれば、本件保安林のうち原判決添付図面一表示の(イ)斜線部分(
以下「本件保安林部分」という。)の伐採により農業用水及び飲料水の不足の影響
を受ける範囲はそれぞれ右図面表示の(ロ)斜線部分及び破線内の範囲に限られる
ものと認められ、また、b川の本支流から東四線排水路、零号排水路を経由してc
運河に至る流域は、本件保安林部分からの流水による直接的水害のおそれが認めら
れ、その水害対策が講ぜられるべき地帯であるが、c運河排水機場は、右水害防止
対策として流水排出のために設置された設備であるところ、c運河排水機場流域(
右図面における実線表示の範囲。以下「排水機場流域」という。)はその機械排水
能力の及ぶ範囲として地形上予定されているものであると認められ、本件保安林の
指定に際し、本件保安林部分に関しては、排水機場流域が水害防止必要地域として
直接の影響の及ぶ範囲として考慮されたものと解するのが相当である、というので
あり、原審は、これらの認定に基づいて排水機場流域(農業用水及び飲料水の不足
の影響を受ける地域はこの中に含まれている。)内に居住する者のみが本件保安林
部分の伐採による理水機能の低下によつて直接の影響を受ける者に当たるとしてい
る。所論は、排水機場流域は本件保安林部分の伐採によつて洪水の危険が生ずる地
域に含まれるといいうるとしても、後者の範囲は当然には前者の範囲に限られると
はいえない旨主張するが、原審の上記認定判断は原判決挙示の証拠関係に照らして
是認することができないではなく、その過程に右所論の違法があるということはで
きない。そうすると、上告人らのうち本件記録上排水機場流域内に居住する者でな
いことが明らかな原判決添付別紙当事者目録中に甲と表示のある者は、いずれも前
記「直接の利害関係を有する者」に当たらないものというべく、したがつて、右上
告人らの本件訴えは原告適格を欠く不適法のものであるとした原審の判断は、結局、
正当として是認することができる。(仮に所論のように本件保安林部分の伐採によ
る理水機能の低下によつて洪水の危険が生ずる地域が排水機場流域よりも広く、し
たがつて、排水機場流域外に居住する上告人らについても原告適格を肯定する余地
があるとしても、後記「二」において判示するように、排水機場流域内に居住する
上告人らについても訴えの利益が消滅するに至つたとされる関係にある以上、右地
域外に居住する上告人らについても同様に考えられるから、右の点に関する認定判
断の違法は、結局、原判決の結論に影響を及ぼす瑕疵とはならないというべきであ
る。)
 なお、所論は、原審が本件訴訟の原告適格につき排水機場流域内に居住する者の
みに限つてこれを認め、非居住者でも洪水によつて生活上なんらかの態様で影響を
受ける者についてこれを認めなかつたことは行政事件訴訟法九条の解釈を誤つたも
のであると主張するが、さきに説示したとおり、かかる非居住者の利益は前記一般
的公益に包含され、これとは別個独立の保護法益としての存在をもつものではなく、
たかだか地域住民の利益の代表者として関係地方公共団体の長がその利益主張の任
に当たるものとされているにすぎないと解すべきであるから、右論旨も採用するこ
とができない。
 二 訴えの利益の消滅について(上告理由第二部第二点関係)
 前記の見解のもとに上告人らのうち原告適格を有するとされた排水機場流域内に
居住する者(原判決添付別紙当事者目録中に乙と表示のある者。以下「乙と表示の
ある上告人ら」という。)についても、本件保安林指定解除処分後の事情の変化に
より、右原告適格の基礎とされている右処分による個別的・具体的な個人的利益の
侵害状態が解消するに至つた場合には、もはや右被侵害利益の回復を目的とする訴
えの利益は失われるに至つたものとせざるをえない。換言すれば、乙と表示のある
上告人らの原告適格の基礎は、本件保安林指定解除処分に基づく立木竹の伐採に伴
う理水機能の低下の影響を直接受ける点において右保安林の存在による洪水や渇水
の防止上の利益を侵害されているところにあるのであるから、本件におけるいわゆ
る代替施設の設置によつて右の洪水や渇水の危険が解消され、その防止上からは本
件保安林の存続の必要性がなくなつたと認められるに至つたときは、もはや乙と表
示のある上告人らにおいて右指定解除処分の取消しを求める訴えの利益は失われる
に至つたものといわざるをえないのである。
 そこで進んで所論が専ら問題とするいわゆる代替施設による洪水の危険の解消に
関する原審の判断について検討する。
 原審は、まず、砂防施設に関し、砂防堰堤は、その建設による随伴的効果として、
渓床勾配の緩化をもたらし、これによる流水の流速低下、山脚固定等により、洪水
調節の機能をもたらすことが肯認されるところ、札幌防衛施設局がb川の本支流の
沢部分に建設した七基の砂防堰堤は、合計二万三三〇立方メートルの計画貯砂能力
を有し、完成後四年九か月を経た時点において、計算上向後なお少なくとも三〇年
を越える期間土砂の流出防止の機能を発揮することが期待されうるものと認定判断
している。
 次に、原審は、本件の主要な洪水防止施設であるb一号堰堤の余水吐が発揮しう
る洪水調節能力について、本件保安林部分を含むb川の本支流の集水地域三・七六
平方キロメートル(以下「本件流域」という。)における降雨量(確率日雨量)及
び右降雨量から算出して得られるb一号堰堤への最大洪水流入量を推定し、右最大
洪水流入量の流入に対する右余水吐の排出能力を測定するという方法を採用し、お
おむね次のとおり認定判断している。すなわち、本件流域附近のD観測所の大正一
四年から昭和四八年までの間の四六年(昭和一三年、同二三年、同二四年は欠測)
の各年最大日雨量をもとにし、確率年として一〇〇年の長期を選択して、一〇〇年
確率最大日雨量を算出した結果一五一・九ミリメートルの数値を得、これにさらに
農林省農地局制定の「土地改良事業計画設計基準」(昭和四一年六月三〇日改定)
による安全率一・二を乗じて一八二・三ミリメートルを本件流域における降雨量(
確率日雨量)として採用した。そして、右日雨量一八二・三ミリメートルについて
の雨量分布(降雨量の時間配分)を推定し、単位流出量及び流出率を決定し、これ
を前記雨量分布に適用して、有効雨量、時間別流出量及び合成流出量を算出した結
果、本件保安林部分を除いた本件流域からの最大洪水流出量を毎秒一六・四四八立
方メートル、本件保安林部分からの最大洪水流出量を毎秒四・九三一立方メートル
と算定し、その合計毎秒二一・三七九立方メートルを、本件流域からb一号堰堤に
流入すると推定される最大洪水流入量であるとしている。次に、原審は、右最大洪
水流入量毎秒二一・三七九立方メートルがb一号堰堤を通過し余水吐から流下する
ときは、その洪水調節機能によつて毎秒約一六・六〇立方メートルに減量され、十
分な余裕高が残されるとし、しかも、右最大洪水流入量毎秒二一・三七九立方メー
トルに一・二を乗じた異常洪水量毎秒二五・六五五立方メートルがb一号堰堤に流
入すると仮定した場合でも、右余水吐からの流下量は、毎秒約二〇・二〇立方メー
トルに減量されるのみならず、日雨量三二〇ミリメートルまでの降雨による洪水の
場合でも、最大洪水流出量は毎秒約四六立方メートル、余水吐からの最大排出量は
毎秒約三五・八立方メートルと計算されるが、堤頂との間に風波高〇・六メートル
を残した堰堤水位標高二四・四〇メートルの状態のもとにおいて可能な右余水吐の
最大排水量毎秒三六・一一立方メートルをもつてすれば、右の雨量までの降雨によ
る洪水に対してもこれを調節することができ、したがつてまた、b一号堰堤の越流
による決壊の蓋然性は無視しうる程度に低いものとみて誤りないとしている。
 そして原審は、以上認定の事実関係に基づき、各砂防堰堤の土砂流出防止機能と
b一号堰堤の洪水調節能力とにより、乙と表示のある上告人の居住する地域におけ
る洪水の危険は社会通念上なくなつたものと認定判断しているものと解される。
 以上の原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし是認することができな
いではなく、その過程に所論の違法があるということはできない。所論は、また、
原審は右の点につき適切な証拠資料の提出の機会を封じたまま、不完全・不十分な
証拠資料のみに基づいて判断を下した点において審理不尽の違法を免れないという
が、右はひつきよう原審の専権に属する証拠調の必要性に関する判断の不当をいう
ものにすぎないのみならず、かかる証拠資料の取調べが原審の前記認定判断の結論
に明らかに影響を及ぼすと認めるべき根拠を見出すこともできないので、右論旨は、
結局、採用することができない。
 してみると、本件保安林の指定解除に伴う乙と表示のある上告人らの利益侵害の
状態はなくなつたと認められるのであるから、右上告人らが本件保安林指定解除処
分の取消しを求める訴えの利益は失われたものというべきであり、本件訴えは不適
法として却下を免れないとした原審の判断は、正当として是認することができる。
なお、所論は、本件における訴えの利益の消滅というような本案前の問題について
は、その認定について慎重な態度をとるべきものであり、前記のように洪水の危険
性が社会通念上なくなつたと認められるだけでは足りず、あらゆる科学的検証の結
果に照らしてかかる危険がないと確実に断定することができる場合にのみ訴えの利
益の消滅を肯定すべきであるというが、右は独自の見解であつて採用することがで
きない。
 三 いわゆる跡地利用と原告適格ないし訴えの利益との関係について(上告理由
第二部第三点及び第四点関係)
 論旨は、要するに、本件保安林指定解除処分が解除後の跡地利用に対する許可処
分の一面をも有することを前提とし、右解除処分の目的である本件ミサイル基地設
置に伴い上告人らの平和的生存権が侵害されるおそれがあるので、上告人らは被上
告人の公益判断の誤りを理由として右処分を争う法律上の利益を有する、というの
である。
 しかしながら、本件訴訟の原告適格は、本件保安林の指定について「直接の利害
関係を有する者」に当たる乙と表示のある上告人らについてのみ認められるもので
あり、その原告適格の基礎となる訴えの利益も、専らその直接の利害関係を基礎づ
ける立木竹の伐採等に伴う洪水や渇水の危険の防止の点に存するものであることは、
上来説示したとおりであつて、伐採後のいわゆる跡地利用によつて生ずべき利益の
侵害のごときは、指定解除処分の取消訴訟の原告適格を基礎づけるものには当たら
ないのである。もつとも、本件保安林の指定解除処分が取り消されれば、右保安林
が伐採されることもなく、また、伐採されても非森林として自由に使用することが
できなくなる結果、所論のような跡地利用も事実上不可能となり、したがつてかか
る利用によつて生ずる利益侵害の危険もなくなるという関係が存在することは確か
であるが、このような関係があるからといつて、右跡地利用による利益侵害の危険
をもつて右指定解除処分の取消訴訟の原告適格を基礎づける法律上の利益を構成す
るものと解することはできない。なお、所論は、法二六条二項による保安林指定解
除処分はその理由となつた伐採後における特定の跡地利用に対する許可を含むもの
と解すべきであるというが、右指定解除処分がかかる許可を含み、ないしは許可の
効果を生ずると解すべき理由はない。また、かかる跡地利用の内容及び性質は本件
保安林の指定解除処分を適法にすることができるかどうかの実体上の問題において
重要な論点となりうるものであることは所論のとおりであるが、この点は本案前の
訴訟要件の有無の問題に関する限り特段の意味をもつものとはいえない。それ故、
乙と表示のある上告人ら以外の上告人らについて原審が本件訴訟の原告適格を認め
なかつたこと、及び乙と表示のある上告人らについても、原審が、本件保安林の指
定解除処分による前記洪水、渇水防止上の利益の侵害が解消した以上、本件訴えの
利益は消滅したといわざるをえないとし、右利益の存否を判断するにつき、伐採後
の跡地利用による利益侵害のおそれの有無を問わなかつたことは、いずれも、結局、
正当として是認されるべきである。なお、所論中いわゆる平和的生存権に関する原
審の判断の不当をいう部分は、原判決の右結論に影響のない点についてその判示の
不当をいうものにすぎない。それ故、論旨は採用することができない。

(最判 昭和57年9月9日 民集 第36巻9号1679頁)

概略


 一 保安林の指定につき森林法二七条一項にいう「直接の利害関係を有する者」は、右指定の解除処分取消訴訟の原告適格を有する。
二 農業用水の確保を目的とし、洪水予防、飲料水の確保の効果をも配慮して指定された保安林の指定解除により洪水緩和、渇水予防上直接の影響を被る一定範囲の地域に居住する住民は、森林法二七条一項にいう「直接の利害関係を有する者」として、右解除処分取消訴訟の原告適格を有する。
三 いわゆる代替施設の設置によつて洪水、渇水の危険が解消され、その防止上からは保安林の存続の必要性がなくなつたと認められるに至つたときは、右防止上の利益侵害を基礎として保安林指定解除処分取消訴訟の原告適格を認められた者の訴えの利益は失われる。
四 保安林指定解除処分に伴う立木竹の伐採後の跡地利用によつて生ずる利益侵害の危険は、右解除処分取消訴訟の原告適格を基礎づけるものではない。




関連条文

行政事件訴訟法
(原告適格)
第九条 処分の取消しの訴え及び裁決の取消しの訴え(以下「取消訴訟」という。)は、当該処分又は裁決の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者(処分又は裁決の効果が期間の経過その他の理由によりなくなつた後においてもなお処分又は裁決の取消しによつて回復すべき法律上の利益を有する者を含む。)に限り、提起することができる。
2 裁判所は、処分又は裁決の相手方以外の者について前項に規定する法律上の利益の有無を判断するに当たつては、当該処分又は裁決の根拠となる法令の規定の文言のみによることなく、当該法令の趣旨及び目的並びに当該処分において考慮されるべき利益の内容及び性質を考慮するものとする。この場合において、当該法令の趣旨及び目的を考慮するに当たつては、当該法令と目的を共通にする関係法令があるときはその趣旨及び目的をも参酌するものとし、当該利益の内容及び性質を考慮するに当たつては、当該処分又は裁決がその根拠となる法令に違反してされた場合に害されることとなる利益の内容及び性質並びにこれが害される態様及び程度をも勘案するものとする。
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