2019年02月03日

民法第一条 無権代理人から代理行為の相手方に対し代理権の不存在を主張することが信義則上許されないとされた事例

 他人の代理人と称して金銭消費貸借契約を締結し、かつ、自らその他人のため連帯保証契約を締結した者が、債権者の提起した右連帯保証債務の履行を求める訴訟において、右代理権の不存在を主張し、主たる債務の成立を否定し、ひいては連帯保証債務の成立を否定することは、特別の事情のない限り、信義則上許されないものと解するのが相当である。
いま、これを本件についてみるに、原審が適法に確定したところによれば、訴外亡Dは、訴外E及びFの代理人と称して被上告人に対し金員借入の申入をなし、Eらの代理人として被上告人と金銭消費貸借契約を締結するとともに、Eらの債務につき連帯保証をする旨の契約を締結したというのであるから、Dの相続人たる上告人らが、右連帯保証債務の履行を求める本件訴訟において、被上告人に対し、Dの右代理権の不存在を主張して主たる債務の成立を否定し、さらには本件連帯保証債務の成立を否定することは許されないものというべきである。
したがつて、この点に関する原審の判断は正当であり、原判決に所論の違法はない。論旨は、独自の見解であつて、採るをえない。(最判昭和41年11月18日 民集 第20巻9号1845頁)

※関連条文
民法
(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない。
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